センター概要

背景

激甚災害の世界的な増加は、温暖化・気候変動問題への待ったなしの対策の必要性を迫っている。インド洋大津波や東日本大震災は、人間社会が存在する地球システムの変動の大きさと脅威を示している。こうした中、防災は人間社会における安全保障方策として極めて重要であるが、ハード対策の限界を露呈している。近年は「防災から減災へのシフト」や、「緑による防災対策」等も提唱されているが、環境面だけでなく防災面も含めた「真の持続可能社会」の構築においては、課題が多い。

新たな自然と向き合う方策の必要性とレジリエンス

西欧近代以前の日本は縄文時代より激甚災害発生地域に暮らしてきた歴史がある。たとえば江戸時代は災害を前提とした社会、街づくりが行われてきた。これらは、災害前の備え(pre-risk)と災害時の対応(避難 on-risk)および災害後の復旧(post-risk)をあらかじめ想定したものである。また、こうしたリスクを前提とした普段の生活様式のあり方は、自然生態系のあらゆる生物が進化で獲得してきた重要な生き残り戦略でもある。 これらは、近年提唱されつつある「レジリエントな社会」の概念の一つとして解釈できる。一方で、「強靭化」というキーワードが行政的な目標として用いられているが、必ずしも災害復旧まで含んだ概念ではない。ややもするとon-riskまでのストレス抵抗性を向上させるハード方策を意味する事になりかねない。近年マスコミで、強靭化は土木事業無駄遣いの復活と指摘されつつあることは、このレジリエンス概念に相当する日本語が無いことも理由の一つと考えられる。

今後の方向性と大学の役割

上記、真のレジリエント社会構築のためには、ハードとしての社会基盤整備のみならず、普段の生活様式(精神構造を含む)、リスク発生前後の行動を視野に入れ、かつこれらのリスクの対応主体である住民、自治体および未来の社会を担う若者教育を通じて、住民の意識改革や政策面での改革まで含めた社会構築が求められる。こうした場において、研究、教育および地域貢献・国際貢献機能を有する大学の役割は極めて大きい。

埼玉大学レジリエント社会研究センターのミッションの定義

  1. 防災、環境、社会基盤を対象として真のレジリエント社会構築のための研究・教育・国際貢献を実施する。
  2. 建設工学科を中心として設立するが、課題解決のために埼玉大学のポテンシャルを最大限に活用して、埼玉大学の役割・機能向上を図るとともに、地域・国際社会貢献を達成する。