センター長挨拶

レジリエント社会研究センター長
教授 田中規夫

埼玉大学研究機構レジリエント社会研究センターは、平成26 年4 月1 日に発足し,平成31年4月から第二期を迎えることになりました。センター発足前から、毎年のように激甚災害が発生しており、特に2018年の西日本豪雨は、気候変動影響で21世紀中には発生するかもしれないという量の降雨が、長時間かつ広範囲で実際に発生したという点で関係者に大きな衝撃を与えました。そして、待ったなしの対策の必要性を行政(公助)だけではなく,個人(自助)や地域(共助)にせまっています。また、今年の3月11日に大槌町の東日本大震災津波追悼式に出席いたしましたが、その前後に、陸前高田、大船渡、釜石、大槌の被災地域の復興状況を見て回りました。大槌町ではかさ上げされた土地に三陸鉄道リアス線の鉄道が引かれ(踏査したときは開通目前)、街には商店なども戻りつつあり、確かな復興への歩みを感じました。しかし、防潮堤や防潮水門は工事中の箇所も多く、震災のインパクトの大きさ、災害後の復旧に要する時間の長さを改めて痛感した次第です。近年の豪雨や東日本大震災規模の地震・津波という地球システムの変動の大きさと脅威に対し、あらためて、リスクを前提とした普段の生活が必要と感じました。災害前の備え、災害時の対応、災害後の復旧という人間にとっての重要な生き残り戦略を、過去の教訓を踏まえ、かつリスク評価や予測も行いながら、災害時に個々人や地域が行動し、被害を最小限にとどめる「レジリエントな社会」を構築していくかが重要になってきています。また、社会基盤施設の老朽化も問題になってきており、今まで構築してきた社会システムの安全性も管理次第では低下します。道路、橋梁、河道等の維持管理技術の構築は喫緊の課題です。

レジリエント社会を構築するためには、狭い意味でのハード・ソフト対策だけではなく、普段の生活様式、社会システムの維持管理,リスク発生前後に適切な行動を起こす力、かつ未来の社会を担う若者教育を通じて、住民の意識改革や政策面での改革まで含めた社会構築が求められます。

埼玉大学は、文理を含む総合的な学部構成であり、同一キャンパスにこれらが存在することに加え、地域のみならず、国際面での研究実績があるという特徴を有します。第二期においては、これらの特色をさらに強化したセンターにしていきたいと思います。今後ともご協力ならびにご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。